11月25日定例会成功しているファミリー企業における承継とガバナンス「ファミリー企業における継続と革新の両立」IFラボ(アイエフラボ)代表 飯泉 泰一郎氏

ファミリー企業における継続と革新の両立を、学術理論と実例から解説。保守的になりやすいファミリー企業が環境変化に適応し、長期的に成長するメカニズムを探る。本講演は、ファミリー企業が持つ特性(SEW)を理解し、適切なガバナンスによって環境適応能力(DC)を高め、永続的な成長を実現するためのメカニズムについて解説している。

1. ファミリー企業の特性:SEWとDC ファミリー企業は、経済合理性よりも一族のアイデンティティや永続性を重視する「社会情緒的資産(SEW)」を持つ。これは長期視点や結束力という強みになる一方、保守的でリスク回避的な傾向を生み、環境変化への適応能力(ダイナミックケイパビリティ Dynamic Capabilities:感知・捕捉・再編する力)を阻害する要因ともなり得る。

2. 成功事例:旭食品㈱のガバナンス このジレンマに対し、旭食品㈱の事例が解決策として提示された。同社は創業家の3系列による「社長輪番制」と「合議制」を採用。これにより属人性を排除し、承継争いを防ぐと同時に、定期的な戦略見直しの機会を構造的に作り出している。M&Aにおいても「イチロー型」の着実な連続投資を行い、10年単位の長期視点で買収先の成長を待つ姿勢を貫く。これは、SEWの「長期視点」を活かしつつ、ガバナンスで「保守性」を打破している好例である。

3. 結論と支援のあり方 ファミリー企業の革新には、意図的な戦略修正の機会創出と、試行錯誤を許容する文化が不可欠である。そのためには後継者の早期指名と経営参画が鍵となる。支援者においては、SEWの特性を理解した上で、後継者が「継ぎたくなる会社」を現経営者と共に作り上げるプロセス(継ぐつくプロジェクト等)への伴走が求められる。